露地裏骨董。 気になる商品がございましたら、「商品の問い合わせ」欄からご連絡ください。詳細説明、追加写真などをお送りします。 国分寺市本町2-25-15 ℡ 090-1400-7141 12:00〜20:00(日曜13:00〜19:00)
誰でも、心の重しになるような、困難の時の支えになるような、作家や一冊の本があるのではないかと思います。
昔知り合った女の子は、「私には坂口安吾がいるからだいじょうぶ。」 と言っていました。
自分の場合はというと、ずっと、吉本隆明の 「初期ノート増補版」(試行出版部) で…。
どうしても、そうなのです。
ほかに山ほど読んでも、そうなのです。 しかたがない。
〈 …生れ、婚姻し、子を生み、育て、老いた無数のひとたちを畏れよう。〉
〈 もう、ひとりの先達もいなくなった。 奥深い静寂について、又茫漠たる海について、あきらかに今しずまうとする人類の寂しい夕暮れについて、あの不気味な地平線の色について、誰が僕といっしょに考へてくれるか。 〉
〈 仮りに僕が何者であらうとも、僕の為すべきことは変わらない。 〉
〈 けっきょくは「そこ」へゆくに決っている。 だから僕は「そこ」へゆかうとする必要はないはずだ。 「ここ」をいつも掘下げたり切開したりすることの他に、僕に何のすることがあるといふのか。〉
〈 あの正号から出発していく幸せなひとたち。 僕は先づ負号を充たしてから出発する。 〉
〈 あいつもこいつも 賑やかな奴はみんな信じられない どうして 思想は期望や憧憬や牧歌をもつて また 絶望はみみつちい救済に繋がれて提出されねばならないか 〉
違う本ですが、
―〈 エリアン おまえは此の世に生きられない おまえはあんまり暗い 〉―
―〈 エリアン おまえは此の世に生きられない おまえは他人を喜ばすことが出来ない 〉―
―〈 エリアン おまえは此の世に生きられない おまえの言葉は熊の毛のように傷つける 〉―
―〈 エリアン おまえは此の世に生きられない おまえは醜く愛せられないから 〉―
―〈 エリアン おまえは此の世に生きられない おまえは平和が堪えられないのだから 〉―
この 「エリアンの手記と詩」 は、彼の起点、と思う。
いつも、いつだって、吉本さんが分かってくれている、という気持ちでいっぱいでした。
と、いう人たちが、多分自分のほかにもおおぜいいて、それが吉本主義者とか信者とかやゆされるゆえんでしょうね。 いいの、べつに。
吉本自身は、こういうふうに依拠されるのは心外だと思う。
こういう 「負号感覚」 を抱いてしまうのは、まあ、青年期特有のナルシズムです。
ナルシズムではあるけれど、こういう心性を通過していない思想家を私は信用していない。
大衆からの極度の疎外感と、大衆性への憧憬美化のアンビバレンツ。
彼の膨大な思想体系は、そのうえに成り立っているのだと思う。
後年の彼の状況への発言は、違ってるなとか、とんちんかんだなと思うところもあったりするのだけど、でも。
彼の仕事を部分的に批判する人たちの言葉が、(私には) 痛くもかゆくもないのは、その人が 「青年吉本の負号の心性」 に共鳴したことがあるとは感じられないからだと思う。
そして、このところ、繰り返し思い出しているのは。
〈 ぼくはでていく
冬の圧力の真むこうへ ひとりつきりで耐えられないから
たくさんのひとと手をつなぐといふのは嘘だから(略)
ぼくの孤独はほとんど極限に耐えられる
ぼくの肉体はほとんど過酷に耐えられる
ぼくがたふれたらひとつの直接性がたふれる
もたれあふことをきらつた反抗がたふれる 〉 (ちひさな群への挨拶)
ちょっとね、最近、ガソリン不足(解消してきました)や物不足や停電やの現実的なちょっとした困難などと比べられないくらい、ある雰囲気に呼吸がくるしくなってきたので…。
昔知り合った女の子は、「私には坂口安吾がいるからだいじょうぶ。」 と言っていました。
自分の場合はというと、ずっと、吉本隆明の 「初期ノート増補版」(試行出版部) で…。
どうしても、そうなのです。
ほかに山ほど読んでも、そうなのです。 しかたがない。
〈 …生れ、婚姻し、子を生み、育て、老いた無数のひとたちを畏れよう。〉
〈 もう、ひとりの先達もいなくなった。 奥深い静寂について、又茫漠たる海について、あきらかに今しずまうとする人類の寂しい夕暮れについて、あの不気味な地平線の色について、誰が僕といっしょに考へてくれるか。 〉
〈 仮りに僕が何者であらうとも、僕の為すべきことは変わらない。 〉
〈 けっきょくは「そこ」へゆくに決っている。 だから僕は「そこ」へゆかうとする必要はないはずだ。 「ここ」をいつも掘下げたり切開したりすることの他に、僕に何のすることがあるといふのか。〉
〈 あの正号から出発していく幸せなひとたち。 僕は先づ負号を充たしてから出発する。 〉
〈 あいつもこいつも 賑やかな奴はみんな信じられない どうして 思想は期望や憧憬や牧歌をもつて また 絶望はみみつちい救済に繋がれて提出されねばならないか 〉
違う本ですが、
―〈 エリアン おまえは此の世に生きられない おまえはあんまり暗い 〉―
―〈 エリアン おまえは此の世に生きられない おまえは他人を喜ばすことが出来ない 〉―
―〈 エリアン おまえは此の世に生きられない おまえの言葉は熊の毛のように傷つける 〉―
―〈 エリアン おまえは此の世に生きられない おまえは醜く愛せられないから 〉―
―〈 エリアン おまえは此の世に生きられない おまえは平和が堪えられないのだから 〉―
この 「エリアンの手記と詩」 は、彼の起点、と思う。
いつも、いつだって、吉本さんが分かってくれている、という気持ちでいっぱいでした。
と、いう人たちが、多分自分のほかにもおおぜいいて、それが吉本主義者とか信者とかやゆされるゆえんでしょうね。 いいの、べつに。
吉本自身は、こういうふうに依拠されるのは心外だと思う。
こういう 「負号感覚」 を抱いてしまうのは、まあ、青年期特有のナルシズムです。
ナルシズムではあるけれど、こういう心性を通過していない思想家を私は信用していない。
大衆からの極度の疎外感と、大衆性への憧憬美化のアンビバレンツ。
彼の膨大な思想体系は、そのうえに成り立っているのだと思う。
後年の彼の状況への発言は、違ってるなとか、とんちんかんだなと思うところもあったりするのだけど、でも。
彼の仕事を部分的に批判する人たちの言葉が、(私には) 痛くもかゆくもないのは、その人が 「青年吉本の負号の心性」 に共鳴したことがあるとは感じられないからだと思う。
そして、このところ、繰り返し思い出しているのは。
〈 ぼくはでていく
冬の圧力の真むこうへ ひとりつきりで耐えられないから
たくさんのひとと手をつなぐといふのは嘘だから(略)
ぼくの孤独はほとんど極限に耐えられる
ぼくの肉体はほとんど過酷に耐えられる
ぼくがたふれたらひとつの直接性がたふれる
もたれあふことをきらつた反抗がたふれる 〉 (ちひさな群への挨拶)
ちょっとね、最近、ガソリン不足(解消してきました)や物不足や停電やの現実的なちょっとした困難などと比べられないくらい、ある雰囲気に呼吸がくるしくなってきたので…。
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