露地裏骨董。 気になる商品がございましたら、「商品の問い合わせ」欄からご連絡ください。詳細説明、追加写真などをお送りします。 国分寺市本町2-25-15 ℡ 090-1400-7141 12:00〜20:00(日曜13:00〜19:00)
子供達がまだ小さかったとき、 家でイラストの仕事をしていたことがありました。
契約の、 ポストカードの原画描き。
だいたい三、四枚に一枚のわりでボツになるので、 私は途中からいつも一つのお題に最低二枚は仕上げていた。 (数打ちゃあたる方式… 。)
だから、 ワリのよい仕事だったのかどうかわからない。
(ポストカードのイラストは、 「怖い、 暗い、 不気味」 はご法度なんである。)
そのときも、 そのはるか前に油絵を描いてたときも、 痛感していたことがあります。
下絵、って描いてみたりするでしょ。
すると、 描きたい衝動も、 無我夢中さも、 タッチのいきおいも、
要するに全部のエネルギーが、 下絵のほうに出ちゃうのね。
そのあとに本番にとりかかっても、 もう、 燃えカス。
ただ写すだけの、 至極つまんない絵になっちゃうので、 下絵は描かないかあっさりと、 と心得ました。
売り絵だったらどうでもいいのかも… だけど。
こんなちっぽけな体験と比較しちゃって、 まことに恐れ多いのですが …、 古いイギリスのスリップウェアのいきおいに比べて、影響を受けて作られた益子のものは、 いかに作家ものとはいえ、
「写しは写しだなあ。」
と思ったのでした。
いきおいはないけど、 違う良さはあるように思います。
「茅葺きの家の炉端が似合う。」 と思ったのは先入観でしょうか。
スリップウェア、 日本でいえば石皿にあたるような実用の器です。
イギリス製のダイナミックな柄は、 アフリカの泥染めのようでもあり、 植民地だった国の影響かなと思いました。
宗主国も植民地文化の影響受けないはずはないと思う。
長く使われてできたシミやカトラリーのキズ、 釉がかかっていないフチのカケや変色、
そういうものがさらに風格を作っています。
実はね、 こういう展示にいくと、 いつもこっそり思うことがあるのです。
「この列 (または部屋) のなかで一つだけあげると言われたら、 どれがほしい?」
大皿は、 骨董市に持ち歩くと (売るのか!?) 重いし、 即割っちゃいそうなので、
結局一番欲しかったものは、 これ。
漢の緑釉みたいな色の、 イギリス14世紀のジャグ。
(はい、 下世話な鑑賞法でした。)
新モノを使い続けても、 その風格を出すには間に合わないしな、 (三世紀くらい必要。) とか、
古いフチのカケと私がつける新しいカケとは違うしな、 (新しいカケはなんてみっともないんだろう!) とか、
どこまでも下世話な感想… ですが、
とても見応えがありましたよ。
3月25日まで。 駒場の日本民藝館。
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