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2024年03月29日 (Fri)
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2012年09月13日 (Thu)
   
 モンクのソロアルバムは数枚ありますが、  一番愛聴しているのは、  これ。
LPのときは  「Monk Runs Deep」(写真左)というタイトルですが、  今は  「Solo On Vogue」(写真右)というのかな。
「TheIonious Himself」  は厳しすぎるし、  「Solo Monk」  は軽すぎる、  というとき。
軽く疲れていて、  ちょっと人恋しいとき。
あったかいくせにさみしくて、  厳しさも馴れ馴れしさもほどほどなこの演奏が一番しっくりくるのです。
とくに好きなのは、  「煙が目にしみる」。
  
また昔話になっちまいますが。
ジャズ喫茶で仕事をしていたある夜、  ふらっと入ってきた二十歳くらいの男の子がいた。
猫背でもっさりしていて、 動作もゆったり。
初めてなのに堂々とした様子で、  空気を読むみたいな態度がまったくないので、  なんかヘンやつがきたなあ、  と思った。
(閉店間際の深夜の防音密室に、  肝の座った感じの男の子が一人で入ってきたらちょっとこわいよ。)
大阪から流れてきて、  バイトしながら近くのアパートに住んでいるという。
これはあとで話を交わすようになってから知ったこと。
北海道には  「流れ者」、  多いのです。

そのときかけていたレコードは  「Solo Monk」。
スピーカーをみつめてじっと聴いていた。
ジャズを聴くのは初めてで、  なんの知識もないらしかった。

その後、  おすすめしたバド・パウエルがすっかり好きになった。
たまたま彼から店に電話があったとき、  今リクエストきたからこれから  「Scene Changes」  かけるよ、  というと走ってかけつけて5分後店にきたこともあった。
「これアドリブなしなんだよなー。」  といつもおんなじことを言って笑った。

彼はライナーノーツもジャズ雑誌も読まない。
音楽が鳴っていたら聴かずにいられない人なので、  文を読むことも話をすることも出来ないのである。
リー・モーガンを聴いて、  「めちゃくちゃかっこつけるやつだな。  こいつ遊び人だな。  女に殺されるぜ。」  と言ったのでびっくりした。
女に射殺されたのだ。

哀愁あふれると定評のあるマイルスを聴いて、  「そうかな。  ユーモアあるけどなー。」  とも言った。
たしかに。

アイラーの  「My Name Is ~」  を聴いて、  一曲目の  「Bye-bye Blackbird」  の冒頭部分でいきなり泣いた。
彼はこの曲は知っていて、  この曲をこんなに自由に演ってもいいんだ、  とびっくりしたそうだ。

モンクはまた格別で、  この  「Monk Runs ~」  をかけると、  必ず涙を流すのだった。
このレコードには条件反射のように泣くのである。

知識もなく、  先入観もなく、
彼ほど  「耳のいい」  人間を、  後にも先にも私は知らない。







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無題
モンク、そしてパウエルですか。
拙ブログですでに話題にした話だけど、GWに数十年ぶりに訪れた渋谷のメアリージェーン。

パウエル演奏のモンクのカヴァーアルバムがかかっていた。
僕の浅はかなジャズ知識では、パウエルの方が年上だと思っていたけど、モンクの方が上だったんですね。
と言うか、モンクは師匠的な立ち位置だったんだ…

また、これも拙ブログで書きましたが、今年に入ってからモンクの10枚組CD1780円くらいで買ってしまった。
意外といいので、困ってしまいます。
徘徊中年 2012/09/15(Sat)22:29:07 編集
ボックスセット、
私もビリー・ホリディ持っていていいので困っています(笑)。
イーストウッドのモンクのドキュメンタリー映画「ストレート・ノーチェイサー」はご覧になりましたか?
すごくいいですよー。
ビッグバンド演奏しているのですが、ちょっとグローブユニティーみたい。
モンクもかなりいっちゃってます。
(「バード」はだめだと思いましたけど。 F・ウィティカーじゃパーカーの天才性は出せませんね。)

ちなみに、 私はこういう「耳のよさ」 は持ちあわせてなくて、 何度も聴かないと良さもだめさもわからないのです。
ライナーノーツを読まないで聴くのは同じなんですけど。
ぼーっと聴いて、興味が持てたらまた聴いて、細部が少しずつわかっていく感じ?
鈍くて勘が悪い、 かわりに粘り強いかも。


リルコ 2012/09/16(Sun)22:59:23 編集
人によって聞こえかたが?
前から思っていたが、演奏スタイルが似ていてもこっちの聞き方というか、体調?など 久々とか ましてや人が違えば聞こえかたも、 ファースト・インプレッションでこっちが、勝手に思い入れ聞きをしてしまうよう、動くモンクを初めて見た時は、あら~あのリズムはこの動きなのか、と あんな曲が出てきそうだよな。
僕はミンガスが彼のバンドからまるで宝石箱から取り出す、宝石のようにソリストをプッシュするんだ! 凄いね
エディ・コスタのカタカタいく感じ、パウエルは速いけど、何かにつまづきながらぶわ~といく、ん~麻薬って感じ、ドルフィに至っては、何食ってるの?どうして?ようわからん!
かつみ 2012/09/17(Mon)07:17:55 編集
無題
映画の話に戻りますね。

『バード』は、確かにダメでしたね。眠い映画でした。
『ストレート・ノーチェイサー』は、機会があれば観てみます。覚えておきます。
徘徊中年 2012/09/17(Mon)08:18:19 編集
無題
人や体調で聴こえ方が違うので評価できないというのも多くの人に定評があるから自分も評価するというのも、 どっちも極論かと …。
私は、 信頼してる方数人分の評価だけで十分なんです。
この人がそういうなら聴いてみよう、 とか。 
で私は 「耳が悪い」 上に仕事の骨董関係では 「目も悪い」(笑)。 (人はそれを 「ニブイ」 という。)
瞬発力がないかわりに、 しつこいのでいつも 「感想上書き」 の人生かも、だなあ。

「バード」 について言いたい。
あの映画は奥さんのチャンの監修が入ったそうで、 遺族が口を出す伝記映画は難しいんだなと思いました。
結果、 すごくいい奥さんとただのジャンキーなミュージシャンの話になっちゃったね。
パーカーの必要性ないですね。
パーカー役は藤山貫美 (似てるでしょ?) でなきゃ …。






リルコ 2012/09/17(Mon)11:02:12 編集
無題
「藤山寛美」 でした。
故人なのでないものねだりですが。
リルコ 2012/09/17(Mon)15:04:33 編集
無題
ケーシー高峰、では?
徘徊中年 2012/09/17(Mon)18:21:55 編集
無題
やだ。
リルコ 2012/09/17(Mon)19:26:59 編集
無題
間違った、ケーシーはコルトレーンでした。
全くもって、ごめんなさい。
徘徊中年 2012/09/17(Mon)19:36:54 編集
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