露地裏骨董。 気になる商品がございましたら、「商品の問い合わせ」欄からご連絡ください。詳細説明、追加写真などをお送りします。 国分寺市本町2-25-15 ℡ 090-1400-7141 12:00〜20:00(日曜13:00〜19:00)
モノの紹介というよりも、だんだんモノにまつわる思い出話、みたいになってきてますねー。 ま、いいか。
今回は、イギリスのスポング社の鉄のコーヒーミル。
70年代、一部のおしゃれな?(というかモノにこだわるタイプの?) 若者の間では、このミルを持つことがひとつの憧れだった。
私のまわりでも、当時すでに結婚していた友人、漫画家の湊谷夢吉夫妻が持っていて、いつもこれでガリガリ豆を挽いてコーヒーをいれてくれた。(コーヒーに限らず、奥さんの雪子さんは料理名人。何でも一から手作りする人で、とくにパンは極上品。教わったこと、数知れない。)
その家に出入りする友達仲間は、結婚するたびに、次々とこのミルを買った。
私も結婚したときに、買った。
(このミル、手挽きタイプのなかでは一番使いやすいのです。)
みんなコーヒー好き(ちなみにみんな深煎り好き。シアトル系が上陸するずっと前から、北海道では主流だった。寒いところ系?) ということはあったかもしれないけど、そのように連鎖反応を生むモノって、他にはあまりないですよ。
人生の節目にしか買おうと思わないほど、自分たちにとっては高価だった、ということだろう。
このスポング・ミル現象は、私のまわりだけだったでしょうか。
80年代、スポング社が買収され、このミルは同じイギリスのサルター社(秤で有名な) が販売を続けた。
でも、持ち手が赤い棒状のプラスチックから無塗装の丸みを帯びた木製に変わって、ちょっぴりカントリー調になってしまった。
その後、サルター社がつぶれて製造中止になり、今は日本のあるコーヒー器具専門店が似たようなものを製造している。
ただし持ち手は、赤く塗られた丸い木製。
その店は、ずっとスポング・ミルの代理販売もやっていたので、自分が店を始めたとき、扱いたいと思って相談に伺ったけど、もうすでになかったのだった。
そのお店の方とお話したときに、「やっぱりスポング社の赤いプラスチックがカッコいいですよねー。」 とおっしゃっていた。
(だったらそうしろよ…と思った。)
というわけで、このミルに出会うとつい仕入れてしまうのでした。
目下そのうちの一台を、ギリギリ生活のビンボー青年が売約中。
まったくこういうモノには贅沢なんだから…と思い、でも自分も同じだったなと思う。 ガンバレ。
sold out
※ 先日のネコ親子、その後お客さんとリンクしながら出入りを繰り返していた。
閉店時間になったので、出ていったことを確かめて、戸締まりして、電気を消して、さあ帰ろうとしたときに、なんか、不安がよぎったのですね。
もう一度電気をつけて二階に確かめにいったら、いました、親ネコが。
家具を積んだ最上段で、まったりくつろいでた。
なんとか追い出したけど、(一苦労でした!)あのまま閉めて帰っていたら、ネコには恐怖のわけわかんない一夜になったことでしょう。
「ナンパしたうえに拉致」 しちゃうところだったよ。
スタッフのみなさん、ネコ指さし確認! へんな業務ばかりですみません。
※ 写真は毎年ちびちび仕入れてたデッドストックのモールサンタ。
仕入れ先の古い浅草の問屋さんも僅少在庫を卸してたから、毎年仕入値が上がっていった。
高くても買えるうちはよかったけど、とうとう在庫がなくなったとかで、(製造元は高齢化でとっくにやめている) もう売ってない。
買えなくなったのは実は二、三年前からだが、ひょっとして少しくらい残ってるかなとあきらめ悪くて行ってみたけどだめだった。
昔は、サンタといえばこれでした。
超有名サンタ。
小人みたいな妖精みたいなサンタ。
簡略化のデフォルメだろうけど、それだけじゃなく、昔の日本人には、サンタのリアリティーというものが分かってなかったんじゃないかしら。
「うちのじいさん」をモデルにしたとしか思えない。
そうだよね、こんな手間かかって単価安いもの、作ってられないよね、と思いながら、絶滅種をなす術なく見守ってるみたいで、さみしい。
ちびちび、店にあるだけ売ります。
1P ¥500
吹き墨柄の瀬戸大皿。見事なゆがみに感激して昔仕入れた。売れてよし売れなくてよし、かな。まだこんなこと言ってるようじゃ半シロートの未熟もんだな…。
sold out
どうやら、焼き物のゆがみ、ひっつき、使い込んで自然に浮かび上がるしみ(雨漏り)、貫入の味、はては欠けの欠け具合、その直しの具合…、といったものをありがたがり、慈しむのは、日本人だけかもしれない。
古い李朝の白磁物のせっかくの雨漏りを、当の朝鮮の人は漂白して消してしまったりするから、アジア人はみな同じ感性ということでもないらしい。
和ガラスでも、ゆがみ、気泡、かしげ具合、むらむらのとろとろ具合、といったものの方が評価が高いのは、暗黙の了解である。(だれとだ?)
この評価基準は西洋アンティークガラスには通用しない。
わびさび美意識が日本の古物好きには行き渡ってるのかもしれないと思う。
人工物のゆがみや欠点や経年の使用感も、どうやら「自然のしわざ」とみなしているみたいなのです。
これから、窯場から出た未使用の越前お歯黒壺を、「使用感なくてすみませんねー」といいながら売るつもり。
お客さんは「ほんとにないねー。」 と言うだろう。
古物好き同志でなければ、けっして理解できない会話だろうな。
昨日古い友人の映像作家、山田勇男さんと電話で一時間以上も話してしまった。
久しぶりだったので話があちこちに飛ぶ。
昔々、山田さんが札幌で初めて八ミリ映画を作りはじめたころのこと。
彼の友人でスタッフとして参加した人たちが、仕事を終えてから夜山田さんのアパートに集まり、打ち合わせをしたり、ラッシュを観たりした。
みんな若くて、お金がなかった。
でも制作の動機と情熱だけはあった。
その時の雰囲気が、制作グループホヲベニの人たちと重なる。
そのときに、食事とともに、食卓に人数分ふせて並んでいたのが、このアンカーコップだった。
グリーンの濃淡のとりどりが、美しいと思った。
打ち合わせのあとこのコップでいただくビールは、とてもとてもおいしかった。
コップがよかったのか、映画づくりが楽しかったのか。 (と言っても、その最中はみんな苦悩していたような…。言い争いもあったり。 でも、底の方で、やっぱり山田さんのために自分の役割を全力で果たすのが楽しかったのだった。)
そう、そもそも、私が古いモノにはまったのは、山田さんのせい。
その時のこのコップからです。
アンカーコップとは、戦前から戦後にかけて食品の容器だったもので、底にCANとかSGFとか山羊のマークとか、それに加えてMADE IN JAPAN (輸出用) とかエンボスが入っていて、縦じま。(しまなしもある。)
SGFは容器だけでなくコップ専用も作っていたので、今はCANより見かけることが多い。
再生ガラスなので無色からグリーン、ブルーまで、濃淡もいろいろある。
最近、SGFのウィスキーグラスのバージョンを箱入りで見つけ、骨董市でちびちび売っている。(店にはもう置けないので。)
このコップ、30年以上前から値段が変わってないのです。
昔も今も、普通サイズで千円台。
限りなくクスリビンに近い雰囲気の、シャープじゃない、できそこないみたいなこのコップ。
ずっと好きで、店を始めて以来切らさず仕入れ続けています。
常時在庫あり